魔法少女まどか☆マギカ /人◕ ‿‿ ◕人\←の業務総括的なモノ

株式会社インキュベート&ハーヴェスト 燃料調達部魔法少女課 業務報告 及び新任社外取締役から弊社社員へのメッセージ


 表題の件について、以下の通りお知らせ致します。



一.燃料調達部魔法少女課 業務報告


 燃料調達部魔法少女課に於いてはこの度、当社財務諸表に重大な影響を与え得る業務上の環境変化が生じた為、一連の事態に関し以下の通り報告させて頂きます。


1.魔法少女課業務状況について

 燃料調達部魔法少女課では、知的生命体の感情エネルギー中で最も効率の良い「魔法少女崩壊燃料」獲得の為、各知的文明毎に専属のインキュベーターを派遣しています。思春期の少女の希望を絶望へ相転移させる事で得られるエネルギーは莫大なものですが、同時に各個体へ高い負荷と強力な副作用が生じる事から、極めて慎重な取り扱いを要します。
 今回、魔法少女課・QB君担当の一部魔法少女について、想定外の負荷といくつかの外部要因が重なった結果、魔法少女が制御不能の状態に陥りました。制御不能となった魔法少女は暴走を重ね、結果として本宇宙の因果を改変、「魔法少女崩壊燃料」の利用そのものが不可能な事態に至りました。


2.本件発生の原因

 本件魔法少女暴走について、その発生原因は以下の通りです。


■担当者ー契約者間で契約デメリットへの認識齟齬があった


「願いがなんでも叶う」という魔法少女契約には、「将来の魔女化」という対価が伴う事、魔女化の際に放出されるエネルギーにより全宇宙への貢献が可能であること等に関して、弊社担当者と契約者間に認識齟齬があった事は否定できません。従来多くのケースに於いて契約締結=業務目標達成となっていた為に特段問題視される事はありませんでしたが、今回はこの認識齟齬が原因で魔法少女の離反・暴走を招く結果に至りました。


■契約者の選定が不適切であった


魔法少女の生み出すエネルギーは「願いの大きさ」に影響されるため、エネルギー効率を重視した魔法少女の選別を行っておりました。一方、契約メリット・デメリットに対する各個体の価値観は選定指標として重視しておらず、結果として円滑な業務遂行の妨げになる事態が発生致しました。


■同時に複数の魔法少女契約を並行して行った


知的生命体の個体同士には一定の交流が生じます。これは時として魔法少女間の競争による意識の高まりや共闘関係の構築等といったメリットが発生しますが、同時に契約内容に関する情報交換や魔女化に際しての心理的負荷等、負の影響も生じます。

本件に関しても、他契約者の魔女化と交流によって強化された別個体への自己犠牲精神が、魔法少女の暴走に多大な影響を及ぼしております。



これらの要因は全て「知的生命体の感情と種族特性に関する理解が不十分であった」という一点に集約されます。本件経緯から、彼ら感情に支配された知的生命体は時として全く非合理的な行動を行う事、また種族全体の利益よりも個人及び限定的共同体の利益を優先する傾向がある事等が明らかになっています。彼らの思考体系に関し十分な分析によって、上記3つの原因は全て解決可能です。

また、契約者の選定や並行契約に関する諸問題については、極端なコスト追求・ノルマ達成意識による影響を認めざるを得ません。


3.今後の対応

 本件を受け、今後以下のような対策を実行致します。

  • 魔法少女崩壊に代わる新しいエネルギー調達モデルを確立する事
  • 知的生命体の感情分析、理解に努める事
  • 契約者の選定は個体の資質を慎重に見極め、リスク検討を十分に行う事
  • 同時契約を実施する場合、契約者同士の交流には十分な監視を実施し、モニタリングを徹底する事
  • コスト、ノルマ目標に関しては現場の実態を考慮した設定と柔軟な対応を行う事

二.新任社外取締役から社員の皆さんへのメッセージ


 今回一連の不祥事は、弊社業務のあり方を見つめ直す契機になると共に、異なる知的生命体の利用がいかに困難であるかを再認識させられる機会となったものと思います。燃料調達部はもとより、全ての社員が本件を把握し、それぞれの立場で分析を行う事を期待します。


 株式会社インキュベート&ハーヴェストは、この宇宙全体のエネルギー調達を担う、インフラ事業者です。
 当社のエネルギー調達が滞れば、この宇宙に存在する数多の文明が存亡の危機に立たされます。
 当社はその社会的使命として、継続的かつ安定したエネルギー供給を求められています。


 そのために必要なのが、知的生命体の感情をエネルギーに変換する技術であり、その燃料の継続的確保です。
 燃料の継続的確保の為には知的生命体の計画的育成が不可欠です。またその安定利用の為には、一方的な搾取ではなく、互いの価値観を理解した上での協力体制構築が必須となります。


 これらを円滑に実施する為に、私たちに必要な事はなんでしょう。 
 それは、他者への理解であり、他者との対話ではないでしょうか。
 自分たちとは異なった価値観を認め、尊重することではないでしょうか。
 かつての当社に欠けていたことであり、これからの私たちがすべきことです。

 
 各員の働きに期待します。


 


 株式会社インキュベート&ハーヴェスト 新任社外取締役 マドカ・カナメ