ジョン平とぼくと

先日某氏から頂き、本日読了。ありがとうございます。魔法だ。魔法が良い。

ジョン平とぼくと (GA文庫)

ジョン平とぼくと (GA文庫)

フムン。理系だ。そしてSFだ。「魔法モノ」ってのはこのジャンルに腐る程あるだろうが、この作品における視点は(自分の知る限りでは)新鮮そのもの。その社会的位置付けもさることながら、観測問題や平行世界といった概念とも絡ませた着想は見事の一言。もちろん本作は青春小説であるから、こうした要素はスパイスに過ぎない。しかしこれだけでも、十分胸を張って「他人にオススメ出来るSF」だと言う事は出来る。
そしてまた、魔法そのものの素敵さ。本作に於ける魔法とは「思いを、形にする」ものだ。術者の脳内に形成されたイメージを、物理的エネルギーとしてアウトプットする。決して万能ではない、ささやかな力。それでも世界は僅かに変わる。「そうあれかしと叫んで唱えれば、世界はゆるりと片付くかもかも!」そんな感じだ。素敵じゃあないかね?
もう一つ、青春小説としての秀逸さについて。主人公・北見重は俺か?てゆーか解説書いてる小川一水は俺か?とにかくダメ、とてもダメ。あー俺も物理室に閉じこもってたなぁ。屁理屈武装でドブ板程度の壁をこさえて「高い壁の男」気取りですよ。もう全編通じて主人公クンに共感したりイラついたりですけど、特にこの会話がグッと来ましたよ。

「そうやって自分の殻に閉じこもって、馬鹿にしやがって」
「馬鹿になんてしていない」
「いや、してる。おまえは馬鹿にしてかかってる」
「だから何を。何を馬鹿にしてるって言うんだ」
「さあな。世界を、馬鹿にしてるんじゃないのか?」

同じ事言われた経験がww とりあえずアレだ、イケメンは絶対読むな。てことで某卿はその書を捨てよ。合コンにでも出よ。

#追記:「ジョン平」を「長平」に変換して(その上、顔を脳内ですげ替えて)読むのは失礼だからヤメロ。絶対。