雷轟 rolling thunder

押井守による軍事小説シリーズ「PAX JAPONICA」始動!オシイスキーなら読まん訳には行かんでしょう!南北戦争アメリカが2国に分断され、それ故に実際の歴史ほど合衆国による影響が少ない世界。この世界で「二度の大戦で漁夫の利を得」、結果的に「敗戦を経験せず、アジアの覇権を握った」日本。そこで描かれるのは「日本によるベトナム戦争」です。
この作品で押井が言わんとしてることは、本書の後半1/3を丸々費やした「解説編」で触れられているので、そちらを参考にして頂くことにして。ファンとしてはね、もう楽しくて仕方ない本ですよ!架空兵器やマニアックな実在兵器がバンバン出て来て、もう文章ならコストかからないからって好き放題じゃないですかっ!ストーリーの方も、押井は「パト2」以後もこういう路線を考えてたのだな〜と思うと嬉しい限り。もちろん全編「押井調」なことは言うまでもない。
この人ってそんなに文章が巧い方では無いと思うのだけど、読んでると映像が頭に浮かびます。これはやっぱり押井が元来映像を作る人だからだろうし、本人の意識としても「映像化」ってのがあるからではないでしょうか?「イノセンス」のオーディオコメンタリーで「戦艦動かす練習出来たしね〜」と言っていた事が、俄に現実味を帯びてきます。アメリ南北戦争を描く第一章は解説調なので映像は浮かびませんが、かわりに「シバシゲオ音声」が脳内再生されまくり。この辺はファンの特権かな。とりあえず「PAX JAPONICA 入門の巻」とでも称したDVDが欲しい。本作第一章と簡単な世界観解説をパタパタアニメby千葉繁。「ミニパト」的なノリで。
構想期間が長い割に本筋の小説は短中編2作しか収録されていない。この事からもわかるように、只でさえ忙しくて仕事に時間をかける押井だけあって、続編がいつ発売になるか予想もつきません。当然、映像化なんてすご〜〜〜〜く先の話でしょう。でもファンは必ず買うべし。そして期待を膨らませるのだ。

雷轟rolling thunder PAX JAPONICA

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