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ナンダロウ?最近この手の「30チョイ前下流男の焦りと苦悩とグダグダな日々」を描く作品が目につくのは、自分がそういう状態にあるからそう見えるだけなのか、そういう若者が増えまくってるのか。どっちもか。
で感想ですけど・・・ウワァァァ!!!おいそこの悩めるお前、覚悟して読め。この主人公はアートの才能が(たぶん)あって、その夢を捨てきれずにもがいていて、挙句の果てに「カタギになろうと思えばいつでもなれる(そして人並みの生活が簡単に出来る)」と思ってて、おまけに美人のセフレまで居るっつー、色んな意味でムカツク奴なのですよ。にもかかわらず!にも関わらずこの男の生き様と葛藤に心打たれる俺ガイル?何故だ?何故こんなクソ野郎に俺の魂がッ!
まぁ一つにはアレですね。対象がアートだとか人に抜きん出た才能を持ってるかとか、そういうのは無関係に、何かを成そうとして成せない、そして時間だけが冷酷に過ぎて行く、そういう焦りと不安は共通のものですからね。そしてまた、1巻の帯にある「なかなか大人になれねーや・・・」。自分を曲げる事を得ず、それ故に社会に適応しきる事を得ず。それも自分に共通した事。テーマを絞って考えてみれば陳腐な題材ですが、それをここまで「魅せる」題材に昇華させたのは、この信濃川日出雄という作家の才能でしょう。俺的には本年度のマンガランキングでかなり上位でゴザイマス。
最後に、「げんしけん」に続いて本作品も我らが母校が舞台(回想シーン)ですが・・・偏ってるよ!勝ちとか負けとかって価値観を敢えて当てはめたら、明らかに負け方向のベクトルが勝ってるよ!もっとこう・・・サクセスとか感動とかの方向には行かんのですか・・・

Fine. (1)

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ファイン (2) (ビッグコミックス)

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