まほろ駅前多田便利軒
文春のグラズニーなやり口で読みたい作品を敬遠するのは癪だ。って訳で買ったみたが、やっぱり普通に面白い。最近ハズレを引いたり、そもそもエンタメでない作品を続けて読んだ事もあって評価が高くなってます。
三浦しをんの物語構築プロセスなんて知る由も無いが、おそらくこの作品の設定を考えてメインキャラを煮詰めた瞬間から、彼女の脳内では2人のステキ男子がインアウトを繰り替えす「漢パレード状態」になったと思われる。そう考えてしまう程、この作品に登場するキャラクターは魅力的。軽やかな語り口で作品世界に読者をグングンと乗せてくれる手法も優れており、あたかも読者が「第三の居候」であるかのような錯覚を与えてくれる。正にハーレム。
しかし巧いよね。普通なら「探偵事務所」って設定ですよ。でも「探偵」なんて使い古されてるし現実味は乏しいし。ここに「便利屋」って職業を持って来るあたり考えてますよ。キャラの設定も本編の物語にうまく生かされてる。「言いたい事があって、無理にそっちへ話を持って行ってる」って感がする部分もあるけれど、エンタメとしてきちんと成立してるし。
この作品、ぜひ続きを書いて欲しいなぁ。これ一作じゃ勿体無いよ。ところでこれ、ドラマ化とかされそうな匂いがプンプンするけど、どうなんだろ?映像化の際はキャスティングに十分気を付けて頂きたい。夢を壊さぬ様に。
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/03/28
- メディア: 単行本
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