『うそつきパラドクス』に感じるコレジャナイ感について考えてみる
コンバンワ。空前のきづきあきらブームが突然到来して、もう毎日『ヨイコノミライ』再読してエクトプラズム吐いたり『メイド諸君！』読んで顔面蒼白になったりしてる３０歳男子です。
もう頭の中にはシュタゲときづきあきらしか居ないような状態なので、久々にblogでも書いてみようかなという気になりました。
今回のテーマはタイトルの通り。発端は今朝ほどtwitterでフォロワーさんが呟いた下記の一言。
今まで読んだきづきあきらのマンガはエロいかエロくないかでいったらそりゃエロいんだろうけど裸やセックス描いてるのはまぁこれこれこういう話書く上じゃ避けられないじゃん？みたいな感じで裸自体はかなりどうでもよかったのだがうそつきパラドクスはエロすぎるというかこれもうエロマンガだよね……
via: http://twitter.com/yo32ted/status/25358205131
フムン、と昼飯食べながら『うそつきパラドクス』の１巻を読み進めたのですが、まさに仰る通り。
これまでのきづきあきらは、『ヨイコノミライ』で言うところの「必然の流れの中で生ずるモノ」としてエロを描いてきたと思います。エロ描写は手段であって目的ではなかった。でも今回の『うそつきパラドクス』は、雑誌の方針なのか何なのか「とにかく毎回乳を出せ！」という前提が先にあるように感じました。だってあなた、残業中に社内で同僚の乳ペロモン（ペロペロして揉む、の意。来年度の広辞苑に採用予定）とか、レンタルビデオ屋のAVコーナーで「ここカメラの死角なんだよね」とか言いつつ乳ペロモンってのは、そういう事じゃないですか。
「そんなにおっぱいモミモミがダメなんですか？」と言われると実は違くて、むしろオッパイは盛大に、揉みに揉んで欲しいわけです。もう一匹の蛇のように揉んで欲しい。
つまる所、手段と目的が転倒した（かのように見える）今回の作品で、これまで何度も描かれてきた「キャラクターを自分の鏡とする事で、自分の心の弱さや薄汚さや存在価値の無さを浮き彫りにされる」という表現が鳴りを潜めてしまっている事が残念なんだと結論づけました。
ところが、やはりtwitterで呟かれたこの感想で、少し考えを転換。
ごめん『うそつきパラドクス』は年齢的にオフィスラブ的なのがすごくよいのだけれど。
via: http://twitter.com/KA3UKA/status/25386617962
見方によっては、これは単なるシチュ萌え、属性論に思えるかもしれません。
しかし。考えてみればきづき作品は、描かれる人物が中学生であれ高校生であれ大学生であれメイドであれキモヲタであれ、そのメンタリティは常に（ある属性の）読者と極めて近い位置に置かれていたと思います。それにより、ファンタジーの中にも「リアル」を強く感じ、浸ることができていた。
つまり、『うそつきパラドクス』に「今までの表現が鳴りを顰めた、ただのエロだ」と言ってしまうのは、その実は単に「カジュアルに性行為へと走るオフィスラブ」へリアリティを感じられるバックボーンを欠いているが故に「著者が描こうとしている事に気付けない」という読み手側の問題なのでは無いのか、という事です。そういったメンタリティを持っている人には、届いている作品なのかもしれない。かつての自分たち同様、深く心を抉られているのかもしれない。少なくとも、長野の種馬には届いてるらしいし。
これを単に「想定読者層が違う作品だから、受け入れられる人間も違って当然」と言ってしまう事もできます。ただ、僕は一つの仮説を持っています。それは
「きづきあきら＋サトウナンキは、これまでの読者を踏まえた上で、彼らの多くが理解出来ないであろう地平を敢えて見せつける事で、作品世界の入口以前で（これまで通り）地獄に突き落とす事を狙っている」
極めて自意識過剰な仮説である事は重々承知です。しかし、こう考えると夢が広がるでしょ。我々の業界的にはご褒美じゃないですか。やはり、きづきあきらは不滅なんですよ（白目
結論として何が言いたいかというと、きづきあきら作品は全作読むことが前提だから貴様ら全部買えという事です。ちなみに、世の中にはモノの価値がわからぬ輩が多いようで、ブコフに行けば普通にぺんぎん書房版があったりするので見つけ次第確保が鉄則です。
＃まとまりを欠いているので追記・修正をするかもしれない。長らく文章書かないと色々とアレです。
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