書店のビジネスモデルに関する考察(プレ)

が各所で盛り上がってるので、考えまとまって無いけど下書きのつもりで書いてみる。twitter上では変態ポストしたので、こっちはマトモに。
※以下の文章は「お客様にとって嬉しい書店を目指す」という視点ではなく、「とにかく収益確保して、書店が利益を確保する(=多少なりとも書店員の生活を向上する)」視点で書いてます。予めご了承を。あと「広告絡み」の案を書きますけど、あくまで副収益確保って視点。


先ず上記エントリで提案されている「入場料徴収モデル」だけど、案として面白いとは思う。ただプリペイドのモデルって言っても、やはり受け入れてくれる人はかなり限定される印象。商売として成立するのは首都圏だけか・・・でも首都圏ならジュンク堂で良い気もする。
上のモデルは「入場料システムによって質の高いサービスを提供し、販売収益の増加を目指す」って考え方だけど、そうじゃなくて「販売以外の収益を模索する」って方向性で何か出来ないだろうか。


広告モデルの考察

書店の集客そのものが落ちてるって事は指摘されるけど、それでも小売店舗の中では書店の集客性は抜けてると思う。集客を金に変換する方法として、一番簡単に思いつくのは「広告」。ネットで考えるとわかりやすいですよね。PVの多いサイトは広告収益を得られる。販売サイトであっても、ある程度は広告収益の余地がある。
書店店頭でも広告はあるけど、それは殆どが販売のためのもの。純粋な広告収益って、あのウザイ英会話学校の勧誘くらいでしょうか。広告ってのは客層とのマッチングが媒体側・出稿側双方にとって最重要なワケで、そういう意味では(確かに「知識欲」みたいな面では親和性あるけど)語学・資格勧誘広告ってのは微妙だと思う。
じゃあ書店の客とマッチングする広告って何だ。ここで考えたいのが、媒体としての書店の特異性。先ず一つが「書店店頭では、あらゆる種類のコンテンツが閲覧可能であり、それに興味を持った客が集まる」こと。二つ目が「人にコンテンツを「買いたくさせる」事に関して、驚異的な才能をもった店員が存在する(場合がある)」こと。


偏った顧客属性の利用

一つ目に関して、例えばファッション誌を考えるとわかりやすい。多少なりともファッションに興味がある人間が、とりあえず雑誌を立ち読みしてる*1。もちろん雑誌に広告は載ってるけど、それは導線として強くは無い。それらの客に、具体的な店舗プロモーションを行う事が可能だったら? 池袋ジュンクのファッション誌売場から、歩いて3分のBEAMSへ来客を促す導線があったら? こういう事は他のジャンルでも可能でしょう。リアルな空間で属性の偏った人間が集まってる状況ってのは、実はかなり貴重なのではないかと思うのです。もちろん属性無関係な広告を展開する余地だってある。その辺うまく組み合わせて、広告モデルを作れるのではないか。


書店員の「販売力」を活用する

二つ目に関して。「日本一ライトノベルを売る男」みたいに、本を売ることに関して天才的才能を持つ人間がいます。レベルの差こそあれ、そこそこの規模の書店には、それなりの人材がいると思う。こういう事を言うとdisられそうだけど、天才達がその気になれば「いや、俺が売場作ればどんな本だって売れるよ?」と啖呵を切る事さえ可能だと思うんですよ。もちろん思うところは多くあるだろうけど、ビジネスとして割り切った時には可能なのではないかと。つまり「俺がフェア展開してやるから金を払え」という取引が出来るのではないか*2
純粋にフェアからの収益のみを考えるなら、報奨金とかで還元すれば良いだけの話になる。けれど、特定店舗の仕掛けが爆発した効果ってのは、全国レベルで波及しますよね。今はネットのおかげで書店員が自発的にそういう流れを汲みますし、出版社の営業やチェーン戦略でも効果を拡大出来る。そこまで含めて考えれば、純粋な「広告費」として成立するのではないかって可能性が出てきます。


難しいですけどねJK

難しい点は、先ず広告効果の予測と検証が難しい事。つうかリアル広告って、どうやって効果測定するのかなぁ。もう一つには、やっぱり上記何れも、ある程度の大きなチェーンでないと成立しない事ですね。俺が思い付くぐらいだから、既に大チェーンはどっちもやってそうだなぁ・・・やってて認知してないってなら、ダメなんだろうな・・・
何か無いですかねー。小さい書店が、手前と家族の飯代を稼ぐ方法。誰かマジで考えてくれよ。俺がブックカフェを開くために。教室に居場所の無ぇひねくれた学生とか、愚痴ばっかり言ってるサボリ営業とかが常駐するブックカフェをやりたいんだよ。

*1:雑誌の売上が厳しい厳しいって言うけど、みんな立ち読みはしてる

*2:この方法は書店に対する顧客の信頼性を著しく損なう危険を伴う。だから、「何でも売れる」けど、実際に対象とする商材に関しては厳格な審査をする事が前提。「ここは書店であってゴミ捨て場じゃないんですよ××社さんww サーセンwwww」