ストレイジ・オーバー

読みなよ。新人なのに上手いし、小気味良いし。

ストレイジ・オーバー (GA文庫)

ストレイジ・オーバー (GA文庫)

接触して数十秒で記憶を「盗める」ハッカー。欠落した記憶の替わり構築する「クリエイター」。数十秒ってのが絶妙。単純なバトル物に堕せず、しかし適度にドライヴできる。
のっけから普通に上手いのは確かなのだけど、後半進むに従って更に腕が上がるのが凄い。書きながらリアルタイムで成長出来るものなのか作家てのは。
「記憶使い」の能力設定に若干の疑問っつーか矛盾みたいのを感じない訳でもないけど、重箱の隅を突付くタイプのSFでは無いから、その辺グダグダ言うのは野暮。
特殊能力と“心の陰”をもった高校生がウオォン!てのはありがち設定と言えなくもないけど、「他人に触れ、他人の心に踏み込まないと物語が動かない」という設定で幅がグッと広がる。こう、大きな世界の枠組みがドゥーンッ!って動いたり、キミと僕の世界でネッチャネチャってのも良いのだけど、一人一人の“他人”に肉薄するってアプローチも大切だと思う訳ですよ。
まだまだ物語は序盤って事で、今続きを書かれてるみたいです。今後にも期待大。