ロシア紅茶の謎

学生アリスが面白かったので作家アリスにも手を出してみた。普通に面白い推理小説だけど、期待した程じゃ無かった。
読了した学生アリスシリーズは全て長編だったが本作は短編集で、その辺も評価に影響してると思う。というのも、尺の都合上どうしてもトリックの組み方が単純になってしまうし、そもそも理詰めで解けない作品も出て来てしまう。もちろん複雑かつ理詰めで解ける作品が必ずしも良いとは限らないが、個人的にはやっぱりそういう作品の方が面白い。あと本格推理要素以外で有栖川有栖作品の魅力を挙げると「キャラ作りの巧さ」があると思うのだけど、短編だとその辺を生かし辛いのも残念。火村先生とアリス先生は多分もっと魅力的な人のハズ。
しかし入門編として軽く読むには非常に良い作品だとも言えるでしょう。特に本書収録の「八角形の罠」はオススメ。「考えて解ける」作品であり、挑戦状付き。建物の見取り図もある。そして難易度が格別に低い*1。解読出来るってのは楽しいよねやっぱり。

ロシア紅茶の謎 (講談社文庫)

ロシア紅茶の謎 (講談社文庫)

*1:観客参加型のミステリー演劇が原案だから簡単になっておるのでしょう