風が強く吹いている

ファンタジー小説にリアリティとか言ってはイカン。それは作者の表現を助ける装置ですから。あと趣味な。
流石は直木賞作家だけあってキャラの作り方や構成の仕方とか上手です。箱根の往路復路では読む手を一瞬たりとも休める事が出来なかった。個人的にスポーツとは無縁の生活を送って来て体育会系を偏見に満ちた目で嫌悪してる所為か、逆にこういう直球のスポーツものには弱いです。何気ない表現なのに、何度かウルウルしてしまった。一つの目標に全力で打ち込む姿ってのは、何に於いても美しいな。
唯一女の子キャラの作り方と、それに対する男の動きだけが粗いっていうか蛇足っていうか。要らんよなアレ。アレのせいで主人公が必要以上にヌケ作に見えてしまう。男だけで話作ると「BL的世界観が」とか言われるから無理矢理くっつけたのか?
ハイジに導かれて10人が見た「頂点」、その在り方は多くのひとに共感を与えると思う。あとコレ読むと箱根駅伝が楽しく見られそうってのもポイント高いよな。直木賞穫ってるから、あんまり投票したくねーんだけどなぁ。

風が強く吹いている

風が強く吹いている

#この物語にキングを登場させて、彼に最後まで走り抜かせた作者に感謝したい。いや感謝される筋合いとかねーんだけど、俺が勝手に感謝する。