特別な約束

http://d.hatena.ne.jp/kenkaian/20060814/1155575582
乙で〜す。とてもわかり易くまとめて下さってます。ここではラノベ系文庫について触れられていますが、同じく特化商品であるハーレクイン社の文庫に関しても、似た様なシステムが稼働中です。ハヤカワとかでも出来そうなシステムですよね。「SF組」とか「FT組」とか。
さて。以下個人的に特約店制度(とりわけ電撃組)に思うこと。乱脳乱文遠吠手淫
特約店制度は書店の売上データをよく反映させた、効率の良いシステムです。しかし問題が無い訳でもありません。その問題とは、例えば電撃文庫が顕著ですが、「売れる本屋は優遇する。弱い本屋は切り捨てる。」という方針であり、その足切り基準が(現場の感覚からすると)厳しいという点です。
例えば私の勤務先。一年程前に念願の電撃組入り、角川ティーンズ男組入りを果たしました。田舎の割と大きめの本屋。ラノベ好きっ子もそれなりに多いお店。それまでは基本的に配本がゼロ、需要はあるのに仕入れが追いつかない状況でした。新刊を無理矢理集めたり、既刊の仕掛けやメディアミックス作品の販売攻勢をしたりで実績を積み上げた訳です。何とか基準ギリギリで特約店入りとなりました。これは「運良く店の需要が特約店基準内だった」という事だろうと思います。需要がもう少しだけ少なかったら、特約店にはなれなかったでしょう。
田舎(と言ってもド田舎ではない)に住んでるラノベファンの方は「ウチの街には電撃新刊を置いてる本屋が無い。隣街のSS堂に行くか、Amazonとかで買わんとイカン」ってな方も多いのではないでしょうか。その街の本屋は、ラノベの需要が無い訳ではない。ただその数が、全国全ての本屋で順位付けした時、ダメな部類に入ってしまうという事です。
もし多くの文庫レーベルで「メディアワークス式の」特約店制度が稼働したら。厳しい厳しいと言われている地方の中小書店は、さらに厳しい状況に置かれるでしょう。どっちにしても配本が無いかもしれませんが、特約店制度下に於いては新刊を集める事が絶望的になるのですから*1
これは特約店制度バッシングではありません。データを反映させ効率化を図るのは素晴らしい事です。ただ「足切り基準」を高くして、小さい本屋を圧迫するのはどうか、と言いたいのです。「(新刊全部で)50冊売れそうな本屋には40冊やる、20冊の本屋にはやらん」ってんじゃなくて、20冊の本屋にも20冊、せめて10冊くれるようなシステムにしてよって事。10冊の本屋にも5冊はくれよ、って事。
ま〜ね〜理想論ですけどね〜。それが出来るなら、POSでデータ送ってんだから、パターン配本をもっと厳密にやれるでしょうしね〜。適正な需要予測が出来て、適正な配本ができて、どっちもコストがかかんねー方法が出来ればね〜。何とかなりませんのかね。

*1:さらに。ある特定ジャンルの客を逃す事は、他の書籍・雑誌の売上減にもダイレクトに繋がる。例えばグイン新刊を買う人が逃げちゃって、その人が漫画も雑誌も他の店で買っちゃうなんて、普通にありそうでしょ?それを補うほど個性的な店を作れってのはよく言われる事だけど、それがどんだけ難しいかと。