バビロニア・ウェーブ

日数経ち過ぎなので移した。以下当然の様にネタバレ有。

バビロニア・ウェーブ

バビロニア・ウェーブ

太陽系から3光日の距離に発見された、銀河面を垂直に貫く直径1200万キロ、全長5380光年に及ぶレーザー光束――バビロニア・ウェーブ。いつから、なぜ存在するのかはわからない。ただ、そこに反射鏡を45度角で差し入れれば人類は厖大なエネルギーを手中にできる。傍らに送電基地が建造されたが、そこでは極秘の計画が進行していた。

【登場人物紹介】

  • マキタ:シャトル操縦士。独り言が多く妄想癖が激しいナイスガイ。匂いに敏感なド変態。状況に流されまくったお陰で、冷凍睡眠までして老人介護に励むハメに。
  • ランドール教授:バビロニア・ウェーブの発見者。特殊能力【走馬灯】が冴え渡る(一度限り)。終盤で「箱男」エムカミ教授に変形するのはお約束。マキタくんラブ。
  • カリン・クラール:SETI@homeじゃ満足出来ない人その1。「私のミラー・ツリー!」って0083の電波女かお前は。死に様が戦国武将チック。
  • フリードリッヒ・ザウアー:SETI@homeじゃ満足出来ない人その2。油ギッチュ。受け。最後はカップルで仲良く爆死。
  • ピエール・コスタ:SETI@homeじゃ満足出来ない人その3。煙草モクモク。眼鏡&攻め。二人で仲良く昇天。
  • スペンサー・ウォレス:通信士だけど仕事しねぇ。金髪金髭の大男でどう見てもマキタ狙いなハードゲイ。でも爆死。片腕だけ残っても正直処理に困るので迷惑だ(マキタ談)。
  • ジーリッチモンド:故人。色々と空気を読めない天文学者。話がややこしいのはコイツの所為。

こう書くと色々と愉快な事が起こりそうな話ですが、まぁ当然誇張ですので。本文の8割は議論とか脳内考察とかでとっても地味。富野アニメばりに人が死ぬけど基本犬死。最終解決はなんと走馬灯。
しかしだ。太陽系規模の謎に対してあくまでリアルに、誠実に挑む人々の姿。極めて丁寧かつ慎重な科学的描写。最終的には銀河全体の謎に迫り、そこに到る人類のネクスト・ステージまで描く大風呂敷。派手さは決してないが、静かに昂る興奮がここにある。こういうの好きでしょ?これこそ冒険でしょでしょ?
と、思える人にだけ読んで欲しいなぁと。『星を継ぐもの (創元SF文庫)』が好きな人とかね。あそこまで泣けるとは言わんが。