ひぐらし

ひぐらしのなく頃に 第1話 鬼隠し編 上 (講談社BOX)

ひぐらしのなく頃に 第1話 鬼隠し編 上 (講談社BOX)

読了。各所で「“嘘だ!”シーンの緊迫感が足らない」という感想を目にしますが、激しく同意。まぁ予め予備知識が入ってしまってるからビックリ感が無いという個人的事情もあるけれど、やはり盛り上げる工夫が足りないなという感じが。
こういう所で盛り上げるのには多分方法が2つあって、一つには文章の運び方で演出する事だと思います。まぁそれは作家の文章構築上の話ですから、四の五の言っても仕方ない。もう一つの方法は、海猫沢めろん氏が『零式 (ハヤカワ文庫JA)』『左巻キ式ラストリゾート―ぷにふごEX (パンプキンノベルズ)』で試みられているように、フォント弄りで演出するやり方でしょう。ゲームでは音楽の効果が大きかったそうですから、小説でも飛び道具的な手法を使うのはアリだったんじゃないですかね。特に講談社BOXはフォントの使い方に柔軟な印象がありますし、この作品に関しては挿絵も有効に使える訳ですから。もちろんそういう試みに否定的な方も多いと思いますが、ゲーム作品原作である以上、従来の小説表現の枠にこだわる必要も無いかと思うのです。ちと残念。
しかし、もしかすると、敢えてこの「嘘だ!」には緊迫感を持たせなかったのかもしれませんね。一語一語のインパクトによるバーチャルリアリティ的な没入感でなしに、純粋に小説作品として物語を楽しんでもらいたいと言う。ゲームはゲームで楽しんで、小説は異なるアプローチで楽しんで欲しいと。そういう考え方もまたアリだよなぁ。
アレコレと要らぬ推測してしまうのは、この作品が面白いからに他なりません。またとんでもない場所で区切ってしまってまぁ。来月頭が待ち遠しいではないか。太田克史・・・悪魔のような男よ・・・!