孤島ゲーム・双頭の悪魔

学生アリス全制覇?でもあと長編を2つ書くって『双頭の悪魔』あとがきに書いてあるなぁ。文庫版の発行が99年ですけど・・・ホントに出るのか??
評判通り一作目『月光ゲーム』より出来が良いです。トリックの練り込みもそうですが、全体を貫くストーリー性が(一作目より)ビシッと決まってる。キャラクターの数はやはり多いのだけど、一作目と違って役割分担・キャラ立ちが固まってるお陰か、混乱する所も少ないように思った。
相変わらず「読者への挑戦」には負ける。何となく犯人の特定と用いたトリックがわかるような気はするのだけど、細部までの詰めが出来ない。本気でやるならノート用意して、アリバイ表とか自分で書いて考えると良いのかも。
このシリーズが面白い理由に、キャラクター小説・青春小説として読む事が出来る点があると思う。だから仕方ないとは思うが・・・やっぱりアリスの腐れ童貞っぷりが凄くイヤ。いやね、普通なら許容するよ?けどこれが推理小説で、しかもアリスが語り手だって事情を考えるとだ。今後新作が出てもその設定如何では「童貞妄想故に「信頼出来ない語り手」と化す」という可能性が有り得る訳だ。まぁ99%無いだろうが、可能性は否定出来ない。よくないよそういうの。つかね、どんなに熟成された童貞でも、月夜に二人でボート漕ぎ出して何も無いですか?濡れたシャツが透け透けで、オティンティンは正常ですか?リアリティが無ぇよリアリティが。
下半身的なダメ出しはありましたが、青春推理小説(萌え抜き)として十分オススメ出来ますです。米澤穂信ファンで「もっと推理を!三千世界の鴉を殺す大推理を!」な方とかにオススメしたい。

孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

双頭の悪魔 (創元推理文庫)

双頭の悪魔 (創元推理文庫)