日本語は天才である

柳瀬尚紀と言えば『フィネガンズ・ウェイク』であり、大学時代に先輩から借りたものの、最初の3頁ほどでリタイアして己が低脳を認識したという黒歴史を否が応でも思い起させる名前である。脳内フォルダ「嫌箱」に格納されておるものの、プロパティを開けばコメント欄には「神」と記述されておる訳で、この人が日本語について語るとなればそれは読まざるを得ぬというのが自然な流れ。
さて、翻訳者として柳瀬先生が古今東西の外国語に取り組み、いかなる言葉であれ「日本語は天才なので、置き換えることが可能である」というのがこの本の主旨。その「翻訳の妙」はかなり高レベルなのだが、氏のウィット溢れる語り口でスンナリと読ませる所がスゴイ。そして全編を通じて常に行われる日本語弄り。もはやコレは「日本語は天才である」と言うより「柳瀬尚紀は天才なのじゃウハハハハ」ってタイトルが正しいんじゃネーノ?と思うのは俺がヒネクレ者なだけですが。
根室方言について言及した章が一編あるのですが、俺は準ネイティブなのでスンナリと読めてしまったのがアレだった。この辺は他地域の方が読むと違った感慨があるものと思われる。
実はこの本、新刊時に多目の追加で仕入れたものの、イマイチ売れていないのです。まぁPOPもつけておらんのですが、柳瀬尚紀の名前だけでイケると思ったのだがなぁ。来週の道新書評に載るそうなので、遅まきながら売れを期待しておる訳です。
もう1ヶ月以上前に読了したのに何故今頃感想か?と言うと、モノがモノだけに日本語弄り満載の感想を書きたかった訳ですね。多忙と無能を理由に断念した次第でゴザイマス。
あー最後に個人的オススメ客層を。作家志望者はコレ読んだらどうだろう?と思う。よくわかんねーけど日本語を弄り倒す知識と凡例って役立つのではないでしょうか?一冊くらい「モノ書きコーナー」に置いてみようカシラ。

日本語は天才である

日本語は天才である