ゾクセイ

森見登美彦のファンには美人が多い。突然ながらこう断言したい。
通常、レジでお客様を確認するのは「年齢/性別/属性(見た目による判断)」である。どんな商品をどんなお客様が、どういう組み合わせで購入するのかを漠然と把握するには、これで十分だ。
しかし、自分が特に力を入れているジャンルや商品、好きな作家の作品となると、自然に観察の目は鋭くなる。森見登美彦は今もっとも顧客観察を仔細に行ってしまう作家だ。
美人が多いのである。そもそも全体的に女子が多く、とりわけ『夜は短し歩けよ乙女』はその傾向が強い。正直これは意外だった。装丁が女子ウケするせいでもあるのだろうが、それだけでもないだろう。私の様に「美しく生きているドブネズミ」が多いのではなく、本当に美しい方が多いのだ。
美人といっても様々ある。知的な美人が多い印象だ。素朴な美人も多い。エビちゃんみたいな「派手な美人」というのは少ないように思える。存外に眼鏡率は高く無い。
京大卒、京都在住の作家・森見登美彦。その設定と著者近影と合わせ、もの静かで知的、慎ましく思索に耽る小説家をイメージしてしまう。だが上に挙げた例を鑑みるに、その勝手な認識は勝手に改める必要があるかもしれない。鴨川のリバーサイドに聳える超高級マンションの一室、ヒュー・ヘフナーばりに美女を侍らしながら執筆するセレブ作家。片手にペリカン・トレド、片手にπ。暫定的に修正してみた。
風邪に罹って脳の回転数が落ちている事が上の妄想にどれだけ影響を与えているのか、これは未知数である。今後の研究に期待したい。