08年映画ベスト5

2月になってしまったけど。

1位:『イントゥ・ザ・ワイルド
http://uk.youtube.com/watch?v=eQyE0Mu97Ec
物質主義の世の中、その権化たる両親に反発して所持金を全部燃やし、アメリカ中を放浪した青年。様々な人々との交流を通じて自分を見つめ、最終的にはアラスカで一人0円生活を営もうとして見事に野垂れ死にっていう実話を映画化。原作はジョン・クラカワーの『荒野へ (集英社文庫)』。
彼ほどに極端な生き方なんて出来ないし、したいとも思わない。加えてアラスカでのサバイバル生活はクレイジーすぎて同情の余地ゼロ。それでもこの映画に深く共感してしまうのは、色んなモノ/コトに縛られ言いようの無い違和感を日々感じる身(多分現代人の多くがそうでせう)として、最終的に「解脱」の境地に至った彼に自分を投影してしまうから。映画を見終わった後、涙を流しながら、彼の見たアラスカの風景をこの目で見たいと願った。
食料も尽き果て、もう色々となんかダメぽって時に彼が記した言葉。

Happiness is only real when shared.

ちなみに、まだ2月6日まで飯田橋のギンエイホールで上映してます。もう1回行っておこうかなぁ・・・


2位:『スカイ・クロラ
http://uk.youtube.com/watch?v=RfmSZPrcudc

スカイ・クロラ [DVD]

スカイ・クロラ [DVD]

完全な平和が実現した世界、平和を実感するために「ショーとしての戦争」が行われている。そこで戦うのは、年をとらない子供たち「キルドレ」。繰り替えされる日々、空虚な娯楽、実感の無い「生」……
って事で、どう考えても僕達の事ですねわかります的な映画。そりゃあ「コレがヒットしなかったら監督やめる」とか押井先生も言うさ。
正直、3Dを駆使した空戦と徹底的に拘った音響だけで満点近く行ってしまうのですが。もうね、劇場で見られなかった人はご愁傷様と言う他は無い。
宮崎作品の「空」が「生」と「希望」の象徴だとすれば、本作のそれは見事に対極。どこにも行けない、墜ちる事さえままならない「僕達の空」だけど、最後の最後で監督が贈ってくれる言葉には確かな力がある。各種映画評で「大人達」にdisられてますけど、未見の人は自分の目で確かめてみて欲しい作品です。


3位:『ウォーリー』
http://uk.youtube.com/watch?v=rjYI8pgdn34
「びっくりするほどディストピア! びっくりするほどディストピア!」(AA略
いやぁPixarさん凄い!「子供も大人も楽しめる」はPixarのポリシーかもしんないけど、この完成度はパネェ。歪みねぇ。
マクロスみたいな船団に住んでる未来の人間達は、自分で歩きもしなけりゃ恋愛もしない。ひたすらネットにハマって全部機械まかせにしてる……ってそれどこの俺ら? 一方でウォーリーをはじめとするロボット達はひたすら人間臭い。しかもヒロイン(ロボ)はツンデレとかマーケティングもバッチリです(釘宮ボイスに変換してお楽しみ下さい)。
機械化した人間−人間的なロボットって対比は結構ありがちだけど、その直球を全世界の人間に向けて放ったのは見事。2008年にもっとも多くの人間へ感動を届けた作品は、間違いなく本作でしょう。わざわざ地球を静止させなくたって良いんだよ。


4位:『僕らのミライへ逆回転
http://uk.youtube.com/watch?v=62CZL9Rhz8Y
前半腹筋崩壊、後半涙腺崩壊。
バカが店のレンタルビデオを全部消してしまったので、仕方なく全ての映画を「撮り直す」事に。もうその発想がヤバすぎる。初っ端の『ゴーストバスターズ』撮影シーンで既に劇場大爆笑。
これだけだと単なるバカ映画なのだけど、本作は「アメリカ版寅さん」とでも呼ぶべき、下町情緒に溢れた作品になっているのが◎。映画作りを通じて、街の人間が一つになり感動を共有する姿にはウルっと来た。観終えた後、「誰かと作品作ってニコ動にアップしたいなー」とか思ったり。
間違いなくニコ動文化へ触れている人々へストライクな映画だと思うのだけど、上映館が少なくて話題にならなかったのが残念すぎる。youtubeには本作に触発された「sweded」(手作りパロ映画。捏造映画を「スウェーデン製のリメイク」と言い張った所から)がゴロゴロ上がっているだけに、日本でも話題になればニコ動で祭りが開催されただろうに……


5位:『崖の上のポニョ
http://uk.youtube.com/watch?v=uKcyNmwLwGI
ゲラゲラゲラゲラwwww 子供連れ&カップル涙目。上映終了後、一斉に「ハァ?」って雰囲気になった豊島園の夜が忘れられんww
これまでの宮崎監督の活躍は、これを日本国民に無理やり観せるための陰謀だったとすら思える。エヴァが放映された当時「庵野のカルテ見せられてるようだ」って言った人がいたらしいけど、本作はそれ以上でしょう。枕元で駿さんの妄想を一晩中呟かれて見る悪夢、そんな感じ。
鬼のように難解な映画だけど、だからこそ観終えた後の考察が楽しいとも言える。夏をすぎて急速に話題は収束しましたけど、これはそれこそ「エヴァ」並に解説書・解読書の類が出ても良い作品だと思うけどなぁ。
ま、もう一度観て考察深めようとか一切思わないのだけど。



以上。新作に限定しなければ、文芸座の押井守オールナイトで観た『紅い眼鏡』はかなり上位。押井初期作品のDVD-BOX、どこかに中古無いかなぁ。あと「バットマンあんまり興味無いしー」って『ダークナイト』をスルーしたのは失態だった。金曜まで丸の内ピカデリーで上映してるけど、無理そうなんだよね……